フィリピン・インファンタ 1この度、3月15日より20日までフィリピン・ルソン島南東部インファンタを訪問してきました。この地域は、04年11月末にスーパー台風ヨヨンが到来し、山からの土砂崩れにより、丸太や大木が根こそぎ流れ、町を襲い、インファンタだけで500人の方々の命が失われました。その他、近隣のReal, Nakaru,北東部にあるAurola州が大きな被害を受けました。 被災後すぐに、復興活動を始めた、アジア学院卒業生イモさんとネドさんを私たち「つながるこころ」は支援しています。 これらの地域は、不法伐採が盛んなだけでなく、マニラの水を供給するためのダム建設や、採鉱も行われており、これらの自然破壊が今回の自然災害を助長したのではないかと現地のアジア学院卒業生イモさんは言います。 スーパー台風が襲ったその夜、インファンタのイモさんの家には、息子さん(エリック)夫婦とその娘(ティンティン)が2階で眠っていました。 土砂の流れる音で目を覚ました奥さんに起こされたエリックさんが下の階に行くと・・・足元につかるぐらいの水がどんどん自分の背丈ぐらいになり、泳いで2階に上がり、避難しました。あちらこちらで「助けて」と叫ぶ声。あまりの突然の出来事に泣き出す声。1階建ての家屋の人たちは屋根の上に上って、避難したのだそうです。隣の家の子供が流されるのを泳いで助け、約8時間ぐらいして水が引くまで、人々はなるべく高い所に避難しました。 その後も降り続く雨。流されてしまった食料、家財、衣料、家畜・・・。インファンタと他の町をつなぐ道路も切断され、すべての橋が崩壊しました。 イモさんは、もてるだけの食料をしょって、何キロもある道なき道を歩いて、インファンタの息子夫婦の家にたどり着き、家の復旧作業を手伝いました。今は、家の復旧は進んでいるものの、30~60cmにも積もった泥は残されたまま。長年使用してきたブタ小屋も崩れてしまいました。少しずつ。一歩ずつ。彼らの復興は今も前進しています。 彼と回った、インファンタの町の様子を写真を通してお伝え致します。 これは「トライシクル」と呼ばれるフィリピン市民の足。 今回、私たちの足となり様々な所につれていってくれました。バイクの横 にサイドカーが付いているのだが、これに7人ぐらい乗れてしまうのだから すごい! 町のいたる所に、積み上げられた丸太が見られます。 これは流れてきた土砂によってほぼ埋もれてしまった家。 イモさんの友人の家も・・・ 家具も流されてしまいました。 彼の後ろの壁に見える茶色の線は、土砂が流れてきた様子を あらわしています。自分の背丈を超えるほどの土砂が押し寄 せてきたのだそうです。 自分の家の庭もこのとおり・・・元通りになるには大変な 労力が必要です・・ 家を流されてしまった家族は家を作ることから始めています。 右側に見える川がスーパー台風以前の川。この写真の真ん中頃 から左側の川は、今回の増水、土砂崩れで新たに広がってでき た川。多くの住居、人々がこのために流されてしまったのです。 これは、灌漑用水のためのポンプ。この通り破壊されてしまい ました・・。ですから今はこの地域の農家は、天水に頼るのみ。 土砂で埋もれた畑。それでも工夫して栽培していました。 排水性の悪い泥・・ 田んぼもこの通り・・・。今までの表土が流され、泥で埋まって しまっています。これを耕すにもトラクターがない・・。灌漑用 水も今はない。町や家の掃除や修復が終わり、これから、農民が 直面するのは、どのように畑の土を回復していくのかという大き な課題。 ここは、5年前にアジア学院主催の高校生ワークキャンプのメンバー で訪れたキャンプ場。跡形もなくなっていました。 そのキャンプ場から見える橋。インファンタへ続く橋は被災当時 すべて壊れてしまったのだそうです。現在は応急処置がされてい ました。 海辺に残る丸太たち。はるばる先まで丸太は続いていました。 丸太も資源。彼らはこの資源を見逃しません。北部のAurola州では これらを利用して、炭焼きが盛んになったそうです。そのおかげで 海辺ももうすっかりきれいになってしまったとか! こちらは建築用の資材に! 「もう鳥の鳴き声は聞こえない。あちらこちらでチェーンソウの音 が鳴り響いている」イモさんはこう表現していました。 チェーンソウで切られた後の、おがくず。イモさんはこれを見ながら 「ああ、これで良い堆肥ができる。ブタや鶏の発酵床にもなる」そう つぶやいていました。さすが、有機農業を実践しているだけある! フィリピン人は大のバスケットボール好き。あちらのテレビでは、 スラムダンクがタガログ語で放映されていました! 流されてきた丸太も、ほら!バスケットゴールに変身。 これは、海辺の家。よ~く見てください。この家は1階部分が埋まって しまったので、新たに2回を地上に作っているのです。 この家も、1階部分が埋まり、2階のみが地上に出ています・・。 イモさんの家の中・・・大切なアルバムも、様々な書類も・・・ すべて流されてしまって、残るは空っぽの戸棚だけ。 扉もこの通り。まだ家の中には泥がたまっています。ここを掘ると、お皿 だとか、スプーンだとか、本だとか。いろいろなものが出てきます。 イモさんと奥さんのレミさん。息子のエリックとその子供たち。 |